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月末のレポート作成、数時間かけていませんか——数字を並べる時間を、判断の時間に変えた話

月末、レポート作成に時間を溶かしていませんか

月末になるとShopifyの管理画面を開いて売上や注文数のCSVをダウンロードする。前月のスプレッドシートを開いて今月分を貼り付け前月比を計算する。商品別ランキングを並べ、検索クエリを眺めて最後に「今月は〇〇が伸びました」とコメントを書く。

気づくと数時間が経っています。

そしてレポートが出来上がった頃にはもう次の打ち手を考える余力が残っていない。月末の半日が「数字を並べる作業」で終わっていて、本当に時間をかけたい「次にどう動くか」の判断が後回しになっている。

Shopifyを使ったECサイトの伴走支援をするなかで、この構造が一番もったいないと感じていました。レポートは判断材料のはずなのに作ること自体に時間を取られて、肝心の判断の時間が削られている。

であればレポートを「作る」ところまでを仕組みに渡してしまえばいい。そう考えて月次レポートの自動生成を設計しました。

Shopifyからデータを取得し、集計・AI下書き・スライド生成までの全体フロー

「数字を集める」は機械の仕事

最初に整理したのがデータの集め方です。

Shopifyの管理画面からCSVをダウンロードするやり方には、いくつか不便な点があります。月によって集計期間がわずかにズレることがある。注文を作成した日で集計するのか、決済が完了した日で集計するのかで数字が変わってしまう。Shopifyのダッシュボード上の数値と手元のCSVを足し合わせた数値が微妙に合わないということも起きます。

数字が揃わないと前月比の意味がぼやけてしまう。「先月より売上が伸びた」と言っても集計の基準がズレていたら、本当に伸びたのか集計のせいで増えて見えるだけなのか判別できません。

そこでデータを直接受け取る窓口から取りに行く方式に切り替えました。Shopifyが用意している外部のシステムがデータを取りに来ていいですよ、という公式の窓口です。集計の基準は「決済が完了した日」に統一しました。Shopifyのダッシュボードが採用しているのと同じ基準です。

これで、毎月のレポートの数字がShopifyの管理画面で見ている数字と一致するようになりました。前月との比較が初めて意味を持つようになります。

集めるデータも整理し直しました。売上・注文数・客単価・リピート率といった基本のKPI、チャネル別の流入、ランディングページの上位、自然検索からの流入、検索クエリ、ベストセラー商品、広告のデータ。これらを毎月同じフォーマットで揃える。

ここまでが「集める」の話です。人がCSVをダウンロードして組み合わせる作業はもう発生しません。

「読み解く」もAIに下書きさせる——ただし、事実の整理係として

集めたあとに残るのがコメントを書く作業です。

「今月は売上が前月比で15%伸びました。要因は新商品の販売開始と自然検索からの流入が増えたことが考えられます」のような文章を毎月人が書いていく。これも数字を眺めながら考える時間がかかります。

ここにAIを使うことにしました。集めた数字をAIに渡してサマリーを下書きしてもらう。

ただ、AIに任せると聞いて多くの方が不安になるポイントがあります。「勝手な解釈をされたらどうしよう」「数字を間違えて書かれたらどうしよう」。クライアントに見せるレポートだからこそここは慎重に設計しました。

AIへの指示の仕方をこう書いています。

提供されたデータのみを使ってください。推測や仮定は一切しないでください。数値は提供された値をそのまま使ってください。

つまりAIには「事実を並べ替える係」をお願いしている。解釈や推測の入る余地を指示の段階で潰しておく。返ってくるのはサマリー3点(良かったこと2点+気になる点1点)、良かったこと4点、気になる点4点、特に注意すべきポイント1点。それぞれに具体的な数値が入っている。

AIが生成するコメントの構成イメージ——サマリー・良かったこと・気になる点・注意点

そして、その下書きを人が見て解釈や次の打ち手の話に育てていく。「この数字が伸びたのは、先月始めた施策が効いてきた可能性がある」「この数字が落ちたのは、〇〇のキャンペーンが終わったタイミングと重なっている」——こういう判断の部分は、事業の文脈を知っている人にしかできません。AIには下ろせない。

任せる部分と任せない部分を最初に決めておく。これがAIを使うときの一番大事な設計だと考えています。

仕組みができて、何が変わったか

完成した仕組みはこんな使い方になっています。

Googleスプレッドシートを開いてメニューバーから「月次レポート」→「フル自動生成」を選ぶ。これだけです。

裏側ではShopifyのデータが取得され、KPIが計算され、AIがコメントを下書きしその内容がGoogleスライドのテンプレートに差し込まれる。デザインも仕上がった状態でPDFも一緒に出来上がる。

自動生成された月次レポートスライドの例

数時間かかっていた作業が1クリックで終わるようになりました。

ただ、本当に変わったのは時間の長さではありません。出来上がったスライドはデザインまで仕上がっているのでそのままクライアントとの打ち合わせに使えます。レポートを作って終わりではなく、レポートを起点にして「次にどう動くか」を一緒に考える時間が始まる。

レポート作成に時間を費やすのではなくレポートから人間の作業が始まる。

この順番が逆転したのが一番大きい変化でした。

任せる部分と任せない部分を設計する

AI活用の話になると「全自動化」や「人の作業をなくす」といった文脈で語られがちです。ただ、実際に事業の現場で仕組みを動かすとそういう話ではないのが見えてきます。

集める・整える・下書きするまでは機械が得意な領域です。一方、解釈する・判断する・次の打ち手を決めるここは事業の文脈を知っている人にしかできません。

どこまでをAIに任せてどこからを人がやるか。この境界を最初に決めておくこと。それがAIを使った仕組み化の本質なんじゃないかと考えています。

「全部AIに任せたい」でもなく「結局人が全部やる」でもなくその間にある設計の余地を、事業者と一緒に詰めていく。Bowortieが伴走支援するときにいつも考えているのはこの感覚です。

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