ECサイトの改善は何から始める?優先順位の決め方
改善の順番は「困りごと」と「止まっている場所」で決まる
広告を増やす。SNSの投稿を続ける。商品ページを書き直す。クーポンを出す。海外からも買えるようにする。ECを運営しているとやれそうなことはいくらでも並びます。
どれも間違いではありません。ただ、候補を眺めているだけでは順番は決まりません。決め手になるのは二つです。いま何に困っているのか。注文がどこで止まっているのか。
この二つが決まると、候補のうち先にやるものと後でよいものが分かれます。順に見ていきます。

まず「売上を上げたい」を三つに分ける
「売上を上げたい」はそのままだと施策を選べません。困りごとを次の三つに分けると、打ち手の向きが見えてきます。
- 売上:初めて買う人が足りないのか、二回目につながらないのか。前者なら知ってもらう施策、後者なら一度買った人への案内が先です。
- 利益:注文は入るのに手元に残る額が小さい。送料の負担や値引きや利幅の薄い商品への偏りを見ます。
- 作業負担:商品登録や問い合わせ、発送に追われて改善に回す時間がない。ここが詰まっているとどの施策も続きません。
広告やSNSで人を呼ぶ集客や店を知ってもらう認知の話はここでは扱いません。どちらも大事ですが、どう人を呼ぶかはそれだけで一つの話になるためです。人が来ていないこと自体が困りごとなら上の「初めて買う人が足りない」に入ります。その場合も来た人がどこで止まっているかを先に見ておくと呼んだ人を取りこぼさずに済みます。
三つとも当てはまる店も少なくないはずです。そのなかで今回いちばん変えたい状態を一文で書きます。「二回目に買う人を増やしたい」のように、施策の名前ではなく店の状態で書くのがこつです。
注文がどこで止まっているかを見る
変えたい状態が決まったら、買う人の側から注文までの流れをたどります。説明は読める言葉で書かれているか。送料は払える範囲か。届くまでの日数は待てる長さか。こうしたハードルがどこかで注文を止めています。
止まっている場所によって、先に確かめることが変わります。
- 新しい人に買ってもらえていない:店に来る人の数の変化と初めて買う人と二回目以降の人の違いを見ます。
- 商品は見られているのに注文につながらない:どの商品、どの選択肢、どの段階で止まっているか。
- 注文はあるが、手元に残る額が気になる:商品代金から差し引かれる送料や値引き。
- 日々の作業で改善まで手が回らない:繰り返している作業とその担当、例外の対応。
どこが当てはまりそうかはある程度は感覚で分かります。ただ、感覚だけで決めると外れることもあります。次の節で実際にどう確かめているかを書きます。
止まる場所は、計測で確かめる
売上の合計を見ても注文が増えたか減ったかしか分かりません。どこで止まっているかを知るには、買う人の動きを途中で拾う計測が要ります。弊社が支援しているストアでも自社のストアでも、GA4で途中の動きを見ています。
ある支援先では、検索広告から来た人の着地先を商品一覧から専用のページに切り替えました。効き目を見るときは、切り替える前と後で同じ28日間を比べます。曜日の並びがそろうからです。切り替えた当日は新旧の着地が混ざるのでどちらにも入れません。同じ時期に広告の設定を変えたらそれも記録に残します。比べる条件がずれていると、数字が動いても理由が分からなくなるためです。
PASS COFFEEでは、好みに合う豆を探せるコーヒー診断に計測を入れています。GA4 に送るのは、診断の開始と回答の完了、結果の豆のカート追加の三つです。あわせて、どの好みを選んだかも送ります。診断のどこで離れているのか、どの好みの人がカートまで進んでいるのかを見られるようにするためです。

見えた数字から、すぐに原因を決めないことも大事です。カートに入っているのに買われないからといって送料が原因とは限りません。商品ごとに反応を分けて確かめた例は、広告でいちばんカートに入る商品が、売上には出てこなかったで書きました。
自分の店の順番を決める四つの問い
自分の店の候補に戻ります。候補ごとに次の四つを問います。
- 何を変えるための施策か。
- 買う人のハードルを下げるものか。
- そう言える根拠は手元にあるか。
- いまの体制で手を動かせる範囲はどこまでか。
答えを候補ごとに書き出すときは、次の項目を並べると整理しやすくなります。
- 改善候補
- 変えたい状態
- 確かめられたこと
- まだ分からないこと
- 最初にすること
- 後にすること
根拠が足りない候補はいきなり作り替えず、確かめることを最初の一手にして構いません。計測を入れるのもその一手のひとつです。
後に回した候補はやめた候補ではありません。先にやったことの手応えが見えてからもう一度並べ直せば十分です。
越境ECを考えている店へ
海外から買えるようにしたいという店も多いと思います。PASS COFFEEは2026年8月に台湾や韓国から買える状態にしました。商品名や説明も英語で読めるようにしています。
その先には米国への対応などが控えていましたが、2026年9月に順番を入れ替えて国内に向けた作業を先にしています。国内のほうが言葉が通じ送料も海外ほど重くないので、買ってもらうまでのハードルが低いからです。先に置いたのは、一度買った人に送料無料のクーポンを添えて次の購入を案内するメールです。器具の重さの登録を実物で確かめる作業も先にしました。登録上の重さが送料の段の境目のすぐ手前にあり、二点まとめて買うと送料が一段上がるためです。
海外から買える状態はそのまま残しています。残りの海外向けの作業を四つの問いに当てはめて、いまは国内のハードルを下げるほうが先だと決めました。国内の二つは進めている途中なので、ここで書けるのは順番の決め方までです。
先にやるのは、効き目と根拠がそろっている改善
ECサイトの改善で先に手を付けるのは、変えたい状態がはっきりしているものです。そのうえで買う人のハードルを下げられて根拠もそろっているものから始めます。根拠が足りないものは、確かめるところから始めます。
候補を書き出しても「まだ分からないこと」が埋まらないことはあります。記録の読み方や手を入れる範囲で迷ったら、その整理から弊社が一緒に考えます。