「自然検索が売上の半分」を疑ってみたら、新規の入口が一つもなかった
「自然検索が最大の収益源です」と書いた
あるShopifyストアの月次レポートにそう書いたことがあります。
チャネル別の売上構成比を見ると自然検索が半分以上を占めていました。訪問数は全体の2%そこそこしかないのに売上の半分を作っている。しっかり読まれてもいる。
数字はそのとおりでした。SEOが効いている。「このストアの柱は自然検索だ」そう読むのが自然だと思います。
ところが、この読み方のまま進むと打ち手を間違えます。強いチャネルをさらに伸ばそうとSEOに投資しても新規のお客さんは増えない。あとから分かったことですがそういう構造になっていました。
「検索から来た人」をひとまとめに数えていた
間違いは検索から来た人を一つの列に並べていたことでした。
検索の管理画面にはどんな言葉で検索されてページが表示されたかが残ります。その言葉を二つに分けました。店の名前を含む検索と含まない検索です。
割ってみると7割強が店の名前での検索でした。着地したページもトップが6割を占めます。
つまり自然検索の大半は、すでにこの店を名前で知っている人でした。検索窓に店名を打ち込んで、トップページに来て、買っていく。チャネルの名前は自然検索でもやっていることはブックマークから来るのと変わりません。
「自然検索が最大の収益源」の実態は既存のお客さんの再訪だったわけです。
名前を知らない人は何を探して来たのか
残りの3割弱、店の名前を含まない検索も中身を見ました。検索された言葉からその人が何を探していたかで分けていきます。
一番多かったのは、地名を添えて実店舗を探す検索でした。検索結果の一番上に出ていてしっかり見つけてもらえている。ただこの人たちは店に行きたいのであって、通販で買いたい人ではありません。
次に多いのがこの店が出しているサービスを名前で探す検索。これもそのサービスをすでに知っている人です。
そのあとに扱っている商品の名前での検索が続きます。店名は入っていませんが、商品を名指しできる時点でどこかで一度接点があった人でしょう。
情報を集めている段階の人もいましたが数えるほどでした。
店の名前を含まない検索にすらはじめてこの店を見つけた買い手はほとんどいません。
表示はされている。クリックされていない
決定的だったのはどの分類にも入らなかった最後のかたまりです。
商品を買いたいという意図のごく一般的な検索。百数十の言葉で表示はされていました。検索結果にはちゃんと出ている。ところがクリックは数えるほどしかありません。
商品を探している人の前にこのストアは並んでいる。でも選ばれていない。事実上見つかっていないのと同じでした。
新規のお客さんが増えない理由がここで説明できます。このストアはリピート率がとても高い。既存のお客さんが離れていない証明です。ただそれは、新しい人が入っていないことの裏返しでもある。
高いリピート率はそれ単体では強さの証明になりません。

変わったのは施策ではなく順番
数字の読み方が変わればやることの順番が変わります。
SEOは新規を連れてくる手段としてはまだ早い段階でした。今は順位を上げる時期であってそこから新規が入る前提で計画を立てる時期ではない。
検索広告も見え方が変わりました。強いチャネルの補強のつもりだったものが初めて入口を作る施策になる。同じ広告でも優先度がまるで違ってきます。
記事も書き足す前にやることがありました。すでにある記事は検索結果に出ています。ただ、あと少しのところで届いていない。ゼロから作るよりいま出ているものを押し上げるほうが早い。
どれも前から候補にあった施策です。一つも新しくない。変わったのは順番だけでした。
数字は割ってみるまで分からない
ひとつの名前でまとめられた数字はよく見えることがあります。中に性質のまったく違う人が混ざっているからです。名前が同じというだけで同じ列に並べてしまう。
やったことは単純でした。検索された言葉から店の名前を含むものを除いて見る。それだけで同じ数字がまったく違う意味を持ちました。
自社のデータでも試せます。検索の管理画面を開いて店名や商品名での検索を外してみる。残ったものがまだ自社を知らない人との接点です。そこが薄ければいくらSEOに力を入れても新規は増えません。
数字がよく見えているときほど一度割ってみる。伴走するときは、いつもそう考えています。