AIでも書ける記事から、価値が消えていく——Shopifyの定期購入を書こうとすると手が止まる
「導入する方法」を書こうとして手が止まった
このブログは自社で実際にやった仕事を題材に書いています。次に書こうと思っているのが、Shopifyで定期便の仕組みを作った話です。クライアントのShopifyストアやPASS COFFEEではコーヒー豆の定期便を導入しています。
書き出しはたぶん「Shopifyで定期購入を始める方法」になる。定義があって、メリットがあって、導入手順が続く。そこを思い浮かべるたびに手が止まります。
どこかで読んだ記事と同じ形になるからです。同じ内容なら自社で書く理由がない。AIに頼んでもたぶん同じものが返ってきます。
AIで記事を書いていいのか。最近よく聞かれます。ただ引っかかったのは、書いたのがAIか人かではありませんでした。誰が書いても同じになる中身を書いていたこと。そっちが問題でした。
AIに書けない部分はどこだったか
では何を書くか。実際に手こずったところを思い出してみます。
定期便は始め方より続け方とやめ方のほうが難しい。解約の導線をどこに置くか。定期購入アプリのGo SubとShopify Flowを使って、注文や解約のたびに何を自動で動かすか。メール配信とどうつなぐか。このあたりは作ってみるまで分かりませんでした。
「始める方法」には書きようのない部分です。実際にやって、つまずいて、改善した人にしか書けない。そこを軸にすれば、ようやく自社の記事になります。
Googleも、近いことを言っています。
AIで書いたかどうかでは判断しない。読む人にとって中身があるかを見る。
AIで書いた記事を機械的に弾いているわけでもありません。見ているのは別の軸です。検索順位を動かすための量産か、読む人の役に立つ中身か。避けるべきはAIを使うことではありません。誰が書いても同じになる、薄い中身のほうでした。
説明だけの記事は開く前に読み終わる
検索のかたちも変わってきました。
ChatGPTに聞けば答えが返る。GoogleもAI Overviewで、検索結果の上に要約を出すようになりました。「Shopifyとは」「定期購入とは」のような説明はページを開く前に読み終わってしまいます。
説明だけの記事はだんだん要らなくなる。代わりに残るのは失敗談や検証の結果です。実際の案件で分かったこと。手元にしかないデータ。ここはAIが外から先回りして作りにくい部分です。
「始める方法」は消費されて「やってみて苦労した点」が残る。同じ題材でも行き先が違っていました。
AIで下書きを作って経験を足す
このブログ自体、そうやって書いています。
AIを使わないという選び方はしていません。下書きはAIに作ってもらう。そのほうが速い。ただ自社にしか書けない部分はあとから人が足す。つまずいた話、選んだ理由、やってみて変わったこと。ここは任せられません。

AIで全部書くのでもAIを避けるのでもない。任せる部分と足す部分を分ける。今はそういう書き方に落ち着いています。
書く速さで競う時代はもう終わりに近い。代わりに効いてくるのは、経験を持つ人がそれをどう編集するかです。
AIが淘汰するのは人の記事ではない
「AIはAIを見抜くから、AIの記事は評価されない」。そう言われることがあります。
ただ実際に近いのは、もう少し別の言い方です。AIでも作れる平均的な記事が価値を失っている。淘汰されているのは人の記事ではなく、誰でも書ける記事のほうです。
だから問いは「AIを使うか」ではありません。自分にしか書けない経験をどこにどう混ぜるか。Shopifyの定期購入ひとつ書くのでもそこで分かれます。最近はそう考えています。